仏教や仏像についてあまり知識がない・興味がない方も「不動明王」の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか? 不動明王といえば男性が好きな刺青ランキングで上位に必ずランクインする題材の一つではないでしょうか。厳つい顔に剣に炎。男性がカッコいい、男らしいと感じるものがふんだんに組み込まれています。ですが、何故怒って厳つい顔をしているのか?剣を持っている意味はご存じでしょうか? ここでは不動明王はどのような仏様なのか、成り立ちやご利益などを紹介します。 デザインの特徴不動明王は右手に倶利伽羅剣という※貪瞋痴(とんじんち)の三毒を破る智恵の利剣を持っています。 左手には羂索(けんさく)と呼ばれる5色の縄を持っています。特徴として先に独鈷杵が付いています。また、この羂索は悪や邪を縛り上げて懲らしめるといわれております。そして悩みや苦しみも救い上げて解放してくれるといわれております。 背後の炎は迦楼羅焔(かるらえん)といいます。迦楼羅は毒をもつ動物を食べるという伝説上の鳥の名前を指します。この迦楼羅焔は毒になるものを焼きつくすことが表現されています。 ※貪瞋痴とは人間の持つ 貪欲、瞋恚(しんに)、愚痴 の3つの悪徳を指す。 不動三尊
不動明王の従者である不動八大童子のうち矜羯羅童子(こんがらどうじ)・制多迦童子(せいたかどうじ)の二童子を脇侍とした図のことを指します。背中など広範囲の刺青の場合は不動三尊となる場合が多いです。 矜羯羅童子不動明王の眷属。八大童子の7番目 通常は不動明王の左(向かって右)に位置しており、容姿は十五歳ほどの童子の姿。 蓮華冠をつけ、肌は白肉色です。合掌した親指と人差し指の間に独鈷杵(どっこしょ)をはさんで持っており、羽衣と袈裟を纏っています。 制多迦童子不動明王の眷属。八大童子の8番目 通常は不動明王の右(向かって左)に位置するしており、容姿は十五歳ほどの童子の姿。 「五智」(大日如来の智を5種に分けて説いたもの)示す五髻を結び、肌は紅蓮色です。金剛杵(こんごうしょ)、右手には金剛棒(こんごうぼう)を持っております。瞋心悪性(しんじんあくしょう:怒りの心を持つ悪しき性分の者)であります。袈裟は着けず、天衣のみを頸と肩に無造作に巻きつけています。 不動明王の成り立ちは?不動明王はインド神話の三大神の1人『シヴァ神』の別名とされています。 梵名は「アチャラナータ」と言い、その意味は「動かない(不動)守護神」。 中国での修行を終えた空海が日本へ持ち帰ったとされており、密教最高位である「大日如来」の化身といわれています。 おだやかな大日如来が優しさだけではいうことを聞かない人々を救済するため、あえて怒りの形相で現れたのが「不動明王」です。 梵字での表記発音カーン 干支酉(とり)年生まれの梵字 五大明王の中心的存在不動明王の「明王」とは、仏教で如来の教えに従わないものを救うために現れた仏で、明王には主に四方の方角を守る「五大明王」がいます。 そのリーダー的な存在が不動明王です。 五大明王とは不動明王を中心に
の五体を指し、人々を仏教へ帰依させるために教え導くことを使命としています。 ※帰依とは「神仏を尊いものとして崇(あが)め、その教えを拠(よ)り所として守る」という意味。 不動明王の怒りの表情の理由は?不動明王の特徴は厳しい怒りの表情ですが、それには不動明王の慈悲深さゆえの理由があります。 不動明王は救済が難しいような煩悩を抱え苦しむ人々を力ずくで救うために、あえて恐ろしい表情をしています。 怒りの表情は「悪を断ち切り、聞かない者はねじ伏せてでも仏道に導く!」という一種の威嚇であり、悪しき煩悩から人々を救うための不動明王の愛の鞭といえます。 不動明王のご利益は?不動明王は現世利益を叶えることができる仏様として知られています。 不動明王の主なご利益には、除災招福・煩悩退散・厄除災難・立身出世・商売繁盛・病気治癒・国家安泰などがあげられます。 不動明王の真言の唱え方不動明王の真言の種類は3つあり、短いものから長いもの、中間の長さのものがあります。 一般的に「不動真言」として知られている「小咒(しょうしゅ)・一字咒(いちじしゅ)」が用いられ「ノウマク・サンマンダバザラダン・カン」と唱えます。 目を閉じて瞑想し、不動明王を思い浮かべながら真言を唱えると、より大きなご利益を得ることができるといわれています。 不動明王が記述されている書籍単行本 – 2013/12/25 ムック – 2014/1/23 単行本 – 2016/8/8 不動明王が題材の絵まとめ不動明王の見た目は怖いですが、慈愛に満ちた仏様です。 迫力ある姿とその内にある慈悲深さこそが人々に慕われ続ける不動明王の魅力といえます。 これから不動明王の刺青を入れることを検討している方は力強さや迫力だけではなく、内に秘めた慈悲の心も兼ね備えていただけるとさらに魅力的な刺青になるのではないでしょうか。 |